現代社会では、食生活の欧米化や運動不足、ストレスの影響により、生活習慣病を抱える人が増えています。その中でも特に注意が必要なのが「メタボリックシンドローム(メタボ)」です。
内臓脂肪の蓄積を中心に、高血糖・高血圧・脂質異常が組み合わさることで、心臓病や脳卒中などの重大な病気を引き起こす危険性が高まります。
厚生労働省によると、メタボリックシンドロームは以下の基準で診断されます。
- 腹囲:男性85cm以上、女性90cm以上
- 高血糖:空腹時血糖値110mg/dL以上、またはHbA1c5.5%以上
- 高血圧:収縮期血圧130mmHg以上、または拡張期血圧85mmHg以上
- 脂質異常:中性脂肪150mg/dL以上、またはHDLコレステロール40mg/dL未満
このうち、腹囲に加え3項目のうち2つ以上が該当すると、メタボリックシンドロームと診断されます。
「少しくらい太っていても大丈夫」と思っている人も多いですが、メタボは放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気につながる恐れがあります。
しかし、適切な栄養と食生活の見直しを行えば、十分に予防・改善が可能です。
ここでは、今日から実践できる**「メタボ対策〜栄養・食生活〜」**のポイントをご紹介します。
1.野菜は1日350g以上を目標に

メタボ対策の基本は、野菜をしっかり摂ることです。
厚生労働省では、成人1日あたりの野菜摂取量を350gと定めていますが、実際の平均摂取量は男性284g、女性270gと不足しています。
■ 野菜350gの目安
- 緑黄色野菜(ほうれん草・にんじん・ブロッコリーなど):120g以上
- 淡色野菜(キャベツ・大根・レタスなど):230g以上
生野菜であれば両手3杯分、温野菜なら片手3杯分が目安です。
■ 野菜を上手に摂るコツ
・加熱調理(煮る・蒸す・炒める)でかさを減らすと、無理なくたくさん食べられます。
・鍋料理や具だくさんの味噌汁、お浸しなどで手軽に摂取。
・1皿70g程度の副菜を5皿食べると350gをクリアできます。
■ 野菜の栄養素と効果
野菜には、ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富に含まれています。
- ビタミン:エネルギー代謝を助け、体の調子を整える。
- ミネラル(特にカリウム):余分なナトリウムを排出し、血圧を下げる働き。
- 食物繊維:糖や脂質の吸収を抑え、血糖値やコレステロールの上昇を防ぐ。
野菜を多く摂る人は、脳卒中や心臓病のリスクが低くなることも報告されています。
まさに、メタボ予防の第一歩は「野菜を増やすこと」から始まります。
2.食物繊維を積極的に摂ろう

食物繊維は「第6の栄養素」とも呼ばれ、健康維持には欠かせません。
18〜64歳の食物繊維の摂取目標量は、男性21g・女性18gとされていますが、多くの人が不足しています。特に若い世代では顕著です。
■ 食物繊維の主な働き
- 便通を整え、腸内環境を改善
- 脂質の吸収を抑え、コレステロールを下げる
- 食後の血糖値上昇を緩やかにする
- ナトリウム排出を促し、高血圧を予防
■ 食物繊維が多い食品
野菜、きのこ、海藻、豆類、果物、穀類など。
■ 摂取の工夫
・きのこをレンジで加熱し、だしやコンソメで味付けして常備菜に。
・乾燥わかめを常備し、味噌汁やスープに加える。
・ご飯を雑穀米や玄米に変えるのもおすすめ。
小さな工夫を積み重ねることで、無理なく食物繊維を増やすことができます。
3.塩分の摂り過ぎに注意!減塩習慣を

塩分の過剰摂取は、高血圧を引き起こし、心疾患や脳卒中のリスクを高めます。
成人の食塩摂取目標量は、男性7.5g未満・女性6.5g未満。
しかし実際には、男性10.8g、女性9.2gと大幅に上回っています。
■ 食品の塩分量の一例
- 味噌汁:1g
- 梅干し:1.9g
- カレーライス:3.7g
- かけうどん:5.0g
- ラーメン:6.0g(スープを残せば3.7g)
■ 減塩のコツ
・調味料は「かける」より「つける」
・香辛料や薬味(生姜・大葉・胡麻油など)で風味を加える
・具だくさんの味噌汁で出汁の旨みを生かす
・納豆のタレやドレッシングを半分に減らす
薄味に慣れるまでは時間がかかりますが、続けるうちに自然と味覚が変わります。
塩分を減らすことは、血圧だけでなく、腎臓や心臓を守ることにもつながります。
4.食べ方と食事の選び方を工夫しよう

■ ベジタブルファーストを実践
食事の最初に野菜を食べる「ベジタブルファースト」は、血糖値の急上昇を防ぐ効果があります。
野菜に含まれる食物繊維が糖の吸収を抑えるため、肥満や糖尿病の予防に有効です。
ただし、食の細い高齢者は、先に野菜を食べすぎると主菜が入らない場合があるため、バランスを意識しましょう。
■ ゆっくり噛んで食べる
早食いは肥満の大きな原因です。
ひと口ごとに30回を目安に噛むことで、満腹感が得られ、食べ過ぎを防げます。
誰かと会話しながらゆっくり食べることも、自然と食事時間を延ばす良い方法です。
■ 外食・コンビニでの選び方
- 外食:定食形式で野菜の多いものを選び、単品メニューを避ける。
- コンビニ:おにぎり+野菜スープ+ゆで卵など、組み合わせを工夫。
「手軽さ」だけで選ばず、「栄養バランス」を意識して選びましょう。
まとめ:今日からできるメタボ対策
メタボを防ぐための栄養・食生活のポイントをまとめます。
- 野菜を1日350g以上食べる
- きのこ・海藻・豆類などで食物繊維を補う
- 食塩相当量を確認し、減塩を意識
- 香辛料や出汁を上手に活用
- ベジタブルファーストを習慣に
- ゆっくり噛んで食べる
- 外食・コンビニでも野菜を意識
- 適量を守り、バランスよく食べる
どれも難しいことではありません。
まずは「今日からできること」を1つずつ実践していくことが大切です。
メタボ対策は、ただ体重を減らすことが目的ではなく、「心と身体を健康に保ち、人生をより豊かにすること」。
あなたの身体の声に耳を傾け、食生活を見直すことから、健康な未来をつくっていきましょう。