うつ病になるとできなくなる9つのこと

──「できない自分」を責めないために知ってほしいこと──

うつ病は、これまで当たり前にできていたことが急にできなくなってしまう病気です。
真面目で責任感の強い人ほど、そのギャップに苦しみ、「どうして以前のようにできないのか」「自分は情けない」と自分を責めてしまう傾向があります。しかし、その“できなさ”こそが、まさに病気によって引き起こされる症状であり、決して怠けているわけではありません。

今回は、**「うつ病になるとできなくなる9つのこと」**を丁寧に解説します。
あなた自身、または身近な人の苦しみへの理解が少しでも深まり、心が軽くなるきっかけになれば幸いです。


1.以前のようなパフォーマンスができない

うつ病になると、集中力・持続力・判断力が大幅に低下します。
それまでバリバリ仕事をこなしていた人ほど、この変化に大きなショックを受けます。

例えば──

  • 営業で外回りをしている人が、強い倦怠感で少し歩いただけで休みたくなる
  • 文字や数字を読むだけで疲れてしまい、資料に集中できない

このような状況になると、「もう以前の仕事ができないのでは」と不安になり、自信を失ってしまうことがあります。しかし、これらは能力が落ちたのではなく、脳のエネルギーが極端に不足している状態です。


2.当たり前の努力ができない

うつ病の影響で、意欲や計画力が著しく低下し、新しい目標を立てたり、それに向かって努力し続けることが難しくなります。

努力したい気持ちはあるのに、身体も心も動かない。
これは怠けではなく、うつ病による代表的な症状です。

例:

  • 資格の勉強を始めても集中できず、続けられない
  • 新しいことに挑戦する気持ちが湧いてこない

そんな自分を責める人が多いですが、「できない」のではなく「病気でできなくなっているだけ」。

それを理解することが大切です。


3.当たり前の我慢ができない

心に余裕がなくなるため、耐える力・我慢する力が大きく低下します。

具体的には──

  • 些細なことでイライラする
  • 感情を抑えられずに人に当たってしまう
  • 弱音をすぐに言ってしまう
  • ゴミを片付ける、小さな家事すら「できない」

これらを「根性がなくなった」「甘えている」と誤解されがちですが、実際は脳のストレス耐性が機能しなくなっている状態です。


4.きちんとした生活ができなくなる

うつ病になると、日常生活を維持する力そのものが弱まります。

よく見られる例:

  • 約束を先延ばしにしてしまう
  • ドタキャンしてしまう
  • 出勤できずバックレてしまう
  • 清潔感を保てなくなる(着替え・シャワー・身だしなみなど)
  • 部屋が片付けられなくなる

これらの行動は、性格の問題でも、やる気の問題でもありません。
うつ病では「行動するためのエネルギー」が著しく低下するため、健康な人にとっては当たり前のことが極端に難しくなるのです。

家族から「だらしない」と言われ、さらに落ち込むという悪循環に陥ることも珍しくありません。


5.当たり前の家事ができない

家事は、意外と多くの工程とエネルギーを必要とします。
そのため、料理や掃除といった家での生活を送るのが難しくなります。

例:

  • 料理が好きだった人でも、献立を考えることが苦痛になる
  • 食材を切る、洗い物をするなどの作業が重く感じる
  • 布団干し・洗濯・掃除などを先延ばしにしてしまう

主婦の場合、家族から「ご飯くらい作ってよ」と心ない言葉を言われると、自責感が強まり症状が悪化することもあります。


6.子供の相手ができない

子どもは可愛い存在である一方で、子育ては大きなエネルギーを必要とします。
うつ病になると、この「子育てに必要な力」が急激に低下します。

例:

  • 子どもの行動を受け止める余裕がない
  • イライラして怒りっぽくなる
  • その後、罪悪感でさらに落ち込む
  • 休日に子供と過ごす体力がない

産後うつでは、母親のこの症状は特に顕著です。また、父親のうつ病でも同じような状況が生じます。

「親失格」ではなく、うつ病が育児への対応力を奪っているだけです。


7.節約や貯金ができない

うつ病になると、思考力の低下や行動力の低下により、金銭管理が難しくなります。

よくあるケース:

  • 休職して収入が減る
  • 自炊ができず外食に頼る
  • ストレス発散で衝動買いをしてしまう

その結果、「節約しなきゃ」と思ってもできない自分に落ち込み、さらにストレスが増えることもあります。


8.趣味を楽しめなくなる

うつ病では“喜びを感じる力”が弱まるため、今まで夢中になっていた趣味が楽しめなくなることがあります。

例:

  • 大好きなアイドルや推しに興味が湧かない
  • エンタメ番組を見ても心が動かない
  • 以前はワクワクしていた趣味が億劫になる

特に推し活ができなくなると、「自分の感情が壊れたのでは」と不安になる人もいますが、これは典型的な症状のひとつです。


9.人に会えなくなる

うつ状態では、外出や人と会うことがとても負担になります。

よく見られる状態:

  • 友人に誘われても気力が湧かない
  • 無理に会うと翌日は寝込んでしまう
  • 人と会いたい気持ちはあるのに、実際には会えない
  • 孤独は寂しいのに、他人との関わりが苦痛

この「矛盾した気持ち」が、さらに自分を追い込んでしまうこともあります。


■まとめ:できないのは「あなたのせい」ではなく、病気の症状です

うつ病になると、自分を「ダメな人間」と責めてしまう人が多くいます。
しかし、今回の”できなくなる9つ”のことは全て、うつ病によって引き起こされる症状です。

◆人間性や努力不足の問題ではありません。

◆治療と休養によって、必ず回復していくものです。

今回のおさらい
 

1.以前のようなパフォーマンスができない
2.当たり前の努力ができない
3.当たり前の我慢ができない
4.きちんとした生活ができない
5.当たり前の家事ができない
6.子供の相手ができない
7.節約や貯金ができない
8.趣味を楽しめない
9.人に会えなくなる

これらが「できない」自分を責める必要は、どこにもありません。
あなたが悪いわけではなく、病気がそうさせているだけなのです。

家族や周囲の人にもこの事実を伝え、理解してもらうことも大切です。
「病気だから、できなくて当たり前」
そう自分に言い聞かせて、どうか今はゆっくり休んでください。

うつ病は、必ず回復します。
回復の近道は、できない自分を責めず、焦らないこと。

あなたがあなた自身を守り、許し、回復へ向かって進んでいけるように。
この記事が、その小さな助けになれば嬉しく思います。