働き盛り世代の健康づくり―「飲酒」と上手に向き合うために

忙しい毎日の中で、仕事や人間関係のストレスを癒してくれる存在として「お酒」を楽しむ人は多いでしょう。
お酒には、気分をリラックスさせて料理をより美味しく感じさせる効果や、仲間と一緒に飲むことで場の雰囲気を明るくし、人間関係をスムーズにしてくれる側面もあります。

しかし、その一方で――
「つい飲みすぎてしまう」
「気づけば毎日飲んでいる」
「空腹で飲んで体調を崩した」

など、心当たりのある方は少なくありません。

お酒は適切に楽しめば日々の生活を豊かにしてくれる存在ですが、飲み方を誤れば、健康に大きな影響を与えてしまいます。特に働き盛りの世代は、仕事のストレスや会食の機会が多い分、飲酒量が増えやすく、生活習慣病のリスクも高まりやすい傾向があります。

そこで今回は、厚生労働省が公表したガイドラインをもとに、**「働き盛り世代の健康づくり動画・飲酒」**の内容を解説しながら、健康を守るための飲酒のポイントをご紹介します。
「お酒とうまく付き合いたい」と考えるすべての人にとって、役立つ情報をまとめています。


1.お酒に“適量”はない? 飲酒と生活習慣病の現状

近年の調査では、「生活習慣病のリスクを高める飲酒」をしている人の割合が増加傾向にあります。

  • 男性:19.6%
  • 女性:6.7%

特に男性の割合が高く、女性も増加がみられるため、年代や性別に関わらず飲酒による健康への影響が懸念されています。

多くの人が「自分はそこまで飲んでいない」と感じがちですが、飲酒によるリスクは想像以上に高く、少量の飲酒でも生活習慣病を引き起こす可能性があると報告されています。


2.飲酒の基本知識 ─ ガイドラインが示す“新しい常識”とは?

厚生労働省が2024年2月に公表した「健康に配慮した飲酒ガイドライン」では、これまでの飲酒の考え方が大きく見直されました。

「少量なら健康に良い」という考え方は誤り

国際的な研究では、

お酒は少量でも身体に悪影響を与える可能性がある

という結論が示されています。

つまり、従来の
「少しなら飲んだほうが健康に良い」
という考え方は否定され、
「できるだけ飲まないほうがよい」
が新しい常識になっています。

● 純アルコール量で飲酒量を考える時代に

従来は「何杯飲んだか」「アルコール度数は?」という把握の仕方でしたが、ガイドラインでは
純アルコール量(g)
という指標を用いて健康リスクを判断します。

生活習慣病リスクが高まる飲酒量は以下の通りです。

  • 男性:40g以上/日
  • 女性:20g以上/日
    (※女性はアルコール分解能力が低いため)

※計算式
純アルコール量(g)=
お酒の量(ml)×度数(%)×0.8


3.病気のリスクはどれくらい? ― 飲酒と生活習慣病の関係

どのくらい飲むと病気のリスクが高まるのか、具体的な数値を見てみましょう。
(※1週間あたりの純アルコール量)

● 高血圧

男女ともに 極少量でもリスクが高くなる

● 胃がん

  • 男性:極少量でもリスク増
  • 女性:150g以上でリスク増
     (缶ビール500ml・7.5本分)

● 食道がん

  • 男性:極少量でもリスク増
  • 女性:十分なデータなし

● 大腸がん

男女とも:150g以上でリスク増

● 脳出血

  • 男性:150g以上
  • 女性:極少量でリスク増

● 脳梗塞

  • 男性:300g以上
  • 女性:75g以上

どの病気においても、「飲むほどリスクが高まる」 のは共通しており、健康を守るためには飲酒量を減らすことが重要です。


4.飲酒によるその他のさまざまなリスク

お酒の影響は生活習慣病だけではありません。継続した飲酒は次のようなトラブルを招きます。

  • 慢性的な疲労
  • 肥満
  • 睡眠障害
  • 認知機能の低下
  • ふらつきなど運動機能の低下
  • 事故やケガのリスク増加
  • ハラスメント・暴言・暴力などのトラブル
  • アルコール依存症のリスク増加

アルコール依存症に陥ると、
「やめたいのにやめられない」
状態になり、生活・仕事・家庭に深刻な支障をきたします。

少しでも生活に支障が出始めたら、迷わず医療機関に相談することが大切です。


5.実践!健康を守るお酒の飲み方7つのポイント

健康に配慮しながら飲酒を楽しむための、実践しやすい方法を7つ紹介します。

① 自分の飲酒状況を把握する

1週間の純アルコール量を計算し、現状を知りましょう。
「アルコールウォッチ」などのWebツールを活用すると簡単です。

② 事前に飲む量を決める

以下の数値を意識して、飲む量を調整しましょう。

  • 男性:40g以上/日
  • 女性:20g以上/日
  • 病気別のリスク量も事前に確認しておくと◎

③ 飲む前や飲んでいる途中に食事を摂る

空腹のまま飲むと、血中アルコール濃度が急上昇し、悪酔いしやすくなります。

④ 適宜、ノンアル・炭酸水・水を挟む

水分を摂ることで、酔いすぎを防ぐ効果があります。

⑤ お酒は薄めて飲む

焼酎・ウイスキーなどは水割りやソーダ割りにすることでアルコール濃度を下げられます。

⑥ ゆっくり飲む

短時間で多量に飲むと、アルコールの分解が追いつきません。

⑦ 休肝日を週に2〜3日つくる

毎日飲む習慣は、知らず知らずのうちに飲酒量を増やしてしまいます。


まとめ:お酒は“モラルをもって楽しむ”ことが大切

今回のポイントを振り返ります。

  1. 健康リスクが高い飲酒をしている人は男性19.6%・女性6.7%
  2. お酒は少量でも病気のリスクを高める
  3. 高血圧は男女とも極少量でもリスク増
  4. がん・脳卒中・脳梗塞などのリスクも上昇
  5. 飲酒量を自ら決めることで飲みすぎを防げる

お酒は人生の楽しみのひとつですが、適切に付き合うことで、健康と生活の質を守ることができます。

「今日から少しだけ意識を変える」
――その積み重ねが、未来の健康を支えてくれます。

健康のためにも、まずはできることから始めてみましょう。