―「お口の健康」から始める全身の予防習慣―
忙しい毎日を送る働き盛りの世代にとって、「健康づくり」は頭では分かっていても後回しになりがちなテーマです。特に、歯や口の健康は痛みや不都合が現れない限り、つい軽視してしまう人も多いかもしれません。
しかし、実はお口の健康状態は全身の健康と深くつながっており、その影響は私たちが思う以上に大きいと言われています。
本記事では、歯周病の基礎知識をはじめ、自分で行えるセルフケア、歯科医院で受けられるプロフェッショナルケア、さらには定期検診の重要性について丁寧に解説します。
今日から取り組める内容ばかりですので、ご自身の健康管理にぜひお役立てください。
■ 歯周病とはどんな病気?

歯周病は、歯と歯茎の境目にある「歯周ポケット」にプラーク(歯垢)が溜まり、そこに含まれる歯周病菌が炎症を起こすことで進行していく病気です。初期は歯肉の腫れ・出血などの軽い症状から始まり、進行すると歯を支える「歯槽骨」が溶け、最終的には歯が抜け落ちてしまうこともあります。
しかし、歯周病の本当の怖さは歯を失うことにとどまりません。歯茎で発生した炎症や細菌が血管を通じて全身へ流れることで、次のような病気のリスクが高まるといわれています。
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
- 糖尿病
- 認知症
- 高血圧
- 肥満
- 早産・低体重児出産 など
つまり、お口の健康を守ることは、全身の病気を予防し、健康的な生活を続けるための重要な「投資」ともいえるのです。
1.セルフケア ― 毎日のケアが最大の予防策
歯周病予防の基本は、毎日の積み重ねであるセルフケアです。特に「歯磨き」と「歯間清掃」は欠かせません。
● 歯磨きの基本

歯磨きは毎食後が理想ですが、特に重要なのは就寝前です。睡眠中は唾液が減り、細菌が増えやすい環境になるため、寝る前の丁寧な歯磨きが歯周病予防に効果的です。
■ プラークが残りやすい3つの場所
- 歯と歯の間
- 歯と歯ぐきの境目
- 奥歯の噛み合わせ
これらの場所は歯ブラシが届きにくいため、意識して磨きましょう。
■ 歯磨きのポイント
- 持ち方:鉛筆を持つように軽く握る
- 動かし方:1か所につき10〜20回、小刻みに優しく動かす
- 鏡を見ながら磨くことで磨き残しを防げます
■ 毛先の当て方のコツ
- 歯ぐきの境目…45度の角度で当てる
- 前歯の裏側…ブラシを縦にして磨く
- 奥歯の裏側…歯ブラシの先端を使う
- 噛み合わせ…水平に当てて後ろから前へ磨く
磨きやすい場所から順番に一筆書きのように進むと、磨き忘れが少なくなります。
歯ブラシをギュッと力強く握ってしまうと必要以上に力が入り、歯ブラシの毛先が広がってしまったり、歯茎を傷付けてしまうので気を付けましょう。
● 歯間清掃 ― フロス・歯間ブラシの活用を

歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは落としきれません。
そのため、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することが大切です。
- 歯と歯の間が狭い → デンタルフロス
- 隙間が広い → 歯間ブラシ
デンタルフロスも歯間ブラシも誤った使い方をすると歯茎を傷付ける恐れがあるため注意が必要です。
ロールタイプのデンタルフロス使用方法
①デンタルフロスを指先からヒジの長さ(約40cm)に切る
②両手の中指にデンタルフロスを2~3回巻き付け、両手の間隔は10~15cm程度に調節する
③両手の親指と人差し指でデンタルフロスを摘み1~2cmの間隔にする
④(下の歯)片方の指は口の中、もう片方の指は口の外に出す
⑤(下の歯)人差し指で上から押すように入れ、歯と歯の間を歯周ポケットに滑らせるように入れて磨く
⑥(下の歯)デンタルフロスは歯と歯を通すだけではなく、歯の側面を擦りプラークを落とすことが大切
⑦(上の歯)人差し指を口の中に入れ、親指が口の外に出るように構える
⑧(上の歯・奥歯)デンタルフロスを上に向け、人差し指と親指を固定して歯の間にデンタルフロスを入れ、左右に動かして磨く
⑨デンタルフロスが抜けない場合は、デンタルフロスを持っている片方の指を外し、前の方に引き抜く
⑩次の歯を磨くときは、使用した部分を少しずらし、新しい部分で同じ動作を繰り返す。使用済みの汚れたデンタルフロスが歯に付着しないよう同じ部分を繰り返し使わない。
ロールタイプのフロスが難しい場合は、ホルダータイプのフロスや糸ようじを使うのも良い方法です。正しい使い方をすることで、歯周病予防の効果が高まります。
2.プロフェッショナルケア ― 専門家による徹底ケア

セルフケアだけでは落とせない汚れや歯石は、歯科医院で受けられる専門ケア(プロケア)で除去しましょう。歯科医師や歯科衛生士によるクリーニングは歯周病予防の効果が高く、さらに正しい歯磨き方法や、自分に合った歯ブラシ・清掃器具の使い方も教えてもらえるため、セルフケアの質が大きく向上します。
受診の目安は3〜6か月に1回。定期的にメンテナンスを続けることで、歯周病や虫歯を未然に防ぐことが出来ます。
3.歯科検診 ― 年に1回は必ず受けたい健康習慣

歯周病や虫歯は初期段階では自覚症状がほとんどありません。お口の病気に気付いたときには治療が大掛かりになってしまうこともあります。
働き盛りの世代は、特に忙しさから通院が負担になりやすく、治療期間が長引くと治療費も掛かり、心身ともにストレスになります。また、歯周病が進行すると仕事の集中力やパフォーマンスに影響するといわれており、健康だけでなく仕事面にも影響が及びます。
だからこそ
気になる症状がなくても年に1回は歯科検診を受けること
がとても重要です。
歯科検診では以下の項目をチェックします。
- 虫歯の有無
- 歯周ポケットの深さ
- 歯のぐらつき
- 噛み合わせの状態
- 清掃状況
早期発見・早期治療は、長期的に見て最も負担の少ない健康管理方法です。
■ まとめ ― お口の健康があなたの未来を守る
最後に、今回のポイントを振り返ります。
- 歯周病予防は「治療」よりも「予防」が大切
- 口の健康は全身の病気のリスク低減につながる
- 年に1回は歯科検診を受けることが理想的
いつまでも自分の歯で食事を楽しみ、健康的に生活するためには、毎日のケアと定期的なプロケアが必要です。
今日からできることを一つずつ実践し、お口の病気を予防していきましょう。
「健康は口から」といわれるように、口の健康づくりは全身の健康への第一歩です。ご自身やご家族の未来のためにも、ぜひ継続して取り組んでみてください。