健康に良い運動を見極めるコツ

「運動をすれば健康になれる」──多くの人がそう信じています。しかし、闇雲に運動すればよいわけではありません。むしろ、過度な運動は疲労や病気のリスクを高め、かえって不健康につながる場合もあります。

精神科医の先生は「健康に良い運動」とは 無理なく続けられること、そして 目的に合った方法であること が重要だと強調しています。

この記事では、精神科医の先生の知見を参考にしながら、健康的な運動のやり方やメンタルへの効果、うつ病治療にも応用される「運動療法」について詳しく解説していきます。


健康に良い運動の基本原則

運動が健康に良いことは確かです。まったく運動をしない人と比べれば、適度に体を動かしている人の方が生活習慣病や心疾患、肥満などのリスクは低下します。

ただし、運動量が過剰になると「オーバートレーニング症候群」と呼ばれる状態に陥ることがあります。これは、筋肉や神経の回復が間に合わず、体が慢性的な疲労状態に陥ってしまう現象です。

つまり「やればやるほど健康になる」とは限らず、適度な運動量を見極めることが最も大切なのです。


健康に良い運動を判断する指標

樺沢先生が提案する目安のひとつに「脈拍数」があります。

  • 中強度運動の目安 → 脈拍数が100〜120回程度
  • 基準 → 安静時脈拍(70〜80回前後)の20%増

たとえば、安静時脈拍が80回の人なら、運動後に100回前後まで上がっていれば適度な強度と判断できます。

最近はスマートウォッチで脈拍を手軽に計測できるため、普段の運動中の数値を記録しておくと、自分の「適度」を把握しやすくなります。運動日記として脈拍や運動時間をメモしておくのも効果的です。


うつ病に効果的な「運動療法」

樺沢先生は、運動がメンタルに与える効果についても強調しています。特に注目されているのが「うつ病への運動療法」です。

うつ病では、薬を中止すると 3分の1〜3分の2の患者が再発するといわれています。そこで運動を取り入れると、再発率を大幅に下げることができるのです。

運動療法の効果

  • 抗うつ薬と同等、あるいはそれ以上の改善効果
  • 抗うつ薬+運動療法で2倍の治療効果
  • 薬を使いたくない人は、運動療法だけでも改善可能
  • 再発予防効果は薬以上

このように、運動は「薬に勝る副作用のない治療法」ともいえるのです。


国際ガイドラインが推奨する運動療法

イギリスの国立医療技術評価機構(NICE)は、成人のうつ病治療において以下のような運動療法を推奨しています。

  • 週2〜3回
  • 1回45分〜1時間
  • 期間は3カ月程度継続
  • 中強度で汗ばむ程度の運動

運動の種類は、ウォーキング、早歩き、ジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動が中心です。

患者の体力に合わせて強度を調整し、最初は散歩から始めてもかまいません。もし効果を感じられなければ、週3回の習慣として続けるとよいでしょう。


運動はメンタル改善にも効果大

樺沢先生が提唱する「運動・睡眠・朝散歩」は、心を整えるための最強の習慣です。その中でも特におすすめなのが 朝散歩 です。

朝散歩の効果

  • 1日20分程度の軽い散歩でOK
  • 朝日を浴びることでセロトニンが活性化
  • セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、気分の安定や睡眠改善に直結

セロトニン不足が招く不調

  • 感情の不安定(イライラ・怒りっぽさ)
  • 気分の落ち込みや意欲低下
  • 不眠・寝つきの悪さ
  • 慢性的な疲労や集中力低下
  • 認知症リスクの上昇

逆に、セロトニンが増えると気分が安定し、集中力が高まり、睡眠の質も向上します。朝散歩は「心のリセットボタン」ともいえるでしょう。


運動は薬以上の力をもつ

数々の研究で、運動療法が抗うつ薬に匹敵、あるいはそれ以上の効果を持つことが明らかになっています。しかも、運動には副作用がなく、再発予防効果も薬以上です。

さらに、うつ病だけでなく、不安障害・強迫性障害・統合失調症・認知症・発達障害といった幅広いメンタル疾患にも有効であることが分かっています。


まとめ:健康に良い運動の見極め方

  • 過度な運動は逆効果
    → 活性酸素の過剰発生、心疾患・がんリスク上昇、寿命短縮の恐れ。
  • 適度な運動が理想
    → 脈拍数100〜120回程度を目安に。1日20分の朝散歩や週120分以上の中強度運動。
  • 運動はメンタルにも絶大な効果
    → セロトニン分泌で気分安定、睡眠改善、集中力向上。抗うつ剤並みの効果あり。

今日からできる小さな一歩

健康に良い運動を見極める最大のコツは「無理なく続けられること」です。

  • 買い物に歩いて行く
  • 1日20分だけ朝散歩する
  • エレベーターではなく階段を使う

こうした小さな習慣の積み重ねが、心身の健康を大きく変えていきます。

あなたに合った運動を見つけ、長く続けていくことで、健康で幸せな未来が広がっていくでしょう。