「歩けば健康になれる」と、多くの人が信じているのではないでしょうか。確かに、散歩やウォーキングは手軽に始められる運動であり、健康法としてもよく紹介されています。しかし、実際に歩いているのに思ったように健康を得られていない人も少なくありません。なぜ「歩けば健康になる」と思って行動しているのに、結果につながらないことが多いのでしょうか。ここでは、歩行と健康の関係を丁寧に掘り下げながら本当に健康を手にするために必要な視点を解説していきます。
「歩けば健康になる」という思い込み

世の中の健康情報番組や雑誌などでは、「毎日○分歩くと健康に良い」といった情報が頻繁に紹介されます。確かに、歩行習慣がすでにある人がそのまま継続すれば、健康維持に役立つことは多いでしょう。しかし、これまでほとんど運動をしてこなかった人が、急に歩き始めたからといって、すぐに健康体になれるわけではありません。
歩行は「健康な人が健康を保つために有効な手段」であって「不健康な状態から一気に健康へ導く魔法の方法」ではないのです。
歩行と他の運動との関係

「歩かないから健康になれない」という考え方もまた誤解を生みます。たとえば、自転車競技や縄跳びといった他の運動を日常的に行っている人は、必ずしも歩いていなくても筋肉は十分に発達しています。けれども、その筋肉が「健康」という結果をもたらすかどうかはまた別の話です。
自転車で鍛えた筋肉は、自転車に乗るという動作に最も適しています。歩くことによって自転車の筋肉を有効活用できるかといえば、そうではありません。同様に、縄跳びを中心に鍛えた体であれば縄跳びを通してこそ健康的に機能します。つまり、「筋肉がある=健康」ではなく「その筋肉を日常生活で適切に使えているかどうか」が重要なのです。
健康の定義を見直す

ここで改めて「健康とは何か」を考える必要があります。一般的には「病気や怪我がなく快眠・快食・快便がそろっている状態」を健康と呼ぶことが多いでしょう。しかし、それだけで十分と言えるでしょうか。
実際には、病院にかかることなく元気に過ごしている人が突然病気を発症したり、予想もしない怪我に見舞われたりすることは珍しくありません。健康とは「不調がまったくない状態」ではなく、「不調が生じても自ら立て直せる力を持っている状態」と捉えるべきです。
この観点から見ると、健康の維持には身体面だけでなく精神面も深く関わっています。そして精神的な強さを支える要素のひとつが実は筋肉量なのです。
筋肉と精神のつながり

筋肉がある人は、一般的に精神的にも粘り強さを発揮できると言われています。たとえば、競技者が鍛えた筋肉は、その人の心の強さにも影響を与えます。ただし、その筋肉を健康のために活かせるかどうかは、使い方次第です。
筋肉を正しく使いこなし、日常生活の中で適切に役立てることができれば、身体的な強さと精神的な安定を同時に得られます。逆に、筋肉があってもそれを活かさなければ健康にはつながりません。
健康体であっても油断は禁物

「今は健康だから問題ない」と安心してしまうのも危険です。人間は加齢とともに筋力や体力が落ちていきます。たとえ若いうちは歩かなくても健康を維持できたとしても、年齢を重ねれば筋肉の衰えが精神面・身体面の両方に悪影響を及ぼすようになります。
つまり、現在健康であっても「何もしなくても大丈夫」というわけではなく、むしろ年齢に応じた適切な運動や生活習慣の見直しが欠かせません。
健康になれない人の共通点

歩いている、運動している、病院や治療院にも通っている、食事や睡眠にも気を使っている――それでも健康になれない人は少なくありません。その原因は、「歩く=健康」「筋肉=健康」といった短絡的な考えにあることが多いのです。
健康は単純な公式では成り立ちません。歩行や筋力は健康を構成する一要素でしかなく、それ自体が目的化してしまうと本来の効果を得られなくなります。
健康情報に振り回されない

テレビや雑誌では、次々と新しい健康法が紹介されます。そのたびに「今度こそ」と飛びつく人もいますが、ブームを追いかけ続けて本当に健康を維持できた人は多くありません。
むしろ、目の前の情報に左右されず、基本的な体の仕組みを理解して自分に合った習慣を続けた人こそ、長期的に健康を維持できています。
自分で直すという発想の大切さ

多くの人は不調を「運のいたずら」と考え、医師や治療家に任せきりにしてしまいます。もちろん専門家に頼ることは必要ですが、自分の体を自分で立て直すという発想を持つことが何より重要です。
自分の行動を変えることで、病院に行く回数が減ったり、薬の量が減ったり、慢性的な頭痛や腰痛が改善する人も少なくありません。健康は「自分で築くもの」という意識が実際の成果につながるのです。
切羽詰まってからでは遅い

「もっと早くから気をつけておけばよかった」と感じる人は少なくありません。手術を宣告されてから、事故に遭ってから、スポーツを引退してから慌てて健康を取り戻そうとしても、多くの場合は遅れを取ってしまいます。
ただし、「遅すぎるからもう無理」ということは決してありません。そこからでも第2、第3の人生を健康的に過ごすことは可能です。ただし、諦めて行動をやめてしまえば、そこで本当に道が閉ざされてしまいます。
まとめ
歩行は健康のための大切な要素ですが、「歩けば必ず健康になれる」という考え方は誤解を招きます。筋肉や運動もまた同じで、それ自体が健康を保証するものではありません。
健康とは、不調がまったくない状態ではなく、不調があっても自ら立て直せる力を持っている状態です。そのためには、筋肉を有効に使い、日常生活の中で心身をバランスよく整える習慣が不可欠です。
健康を本気で手に入れたいのであれば、情報に振り回されず、自分の体を理解し、主体的に行動を変えていくことが大切です。歩行を含めた運動や生活習慣を「健康と結びつける方法」を正しく理解することで、ようやく本当の意味での健康に近づくことができるのです。