夜中にふと目が覚めてしまい、その後なかなか眠れなくなる――。
そんな「中途覚醒」に悩む方は多くいます。ぐっすり眠ったつもりでも疲れが取れない、夜中に時計を見てため息をつく。こうした状態が続くと、心身に大きな負担がかかってしまいます。
本記事では、精神科医の臨床経験をもとに、「中途覚醒を改善する具体的な方法」「生活習慣の整え方」「睡眠の質を上げる運動や習慣」などを丁寧に解説します。薬だけに頼らず、自分の力で心地よい睡眠を取り戻すためのヒントをお伝えします。
■ 中途覚醒とは?

「中途覚醒」とは、入眠後に何度も夜中に目が覚めてしまい、その後に再び眠りにつけない状態を指します。
睡眠障害の中でもよく見られるタイプで、特にストレスや加齢、生活リズムの乱れなどが原因になることが多いです。
睡眠障害には主に以下の4つのタイプがあります。
- 入眠障害:布団に入ってもなかなか寝つけない
- 中途覚醒:眠りについた後に何度も夜中に目が覚める
- 早期覚醒:起きたい時間よりも2時間以上早く目が覚める
- 熟眠障害:睡眠時間は足りているのに、ぐっすり眠れた感覚がない
この中でも中途覚醒は、精神的ストレスや運動不足、アルコール摂取、加齢などが関係しているケースが多いといわれています。
■ 病気が治らない人に共通する「意識の違い」

精神科医の先生によると、「中途覚醒は治りますか?」と質問だけしてくる患者さんほど、なかなか症状が改善しにくいといいます。
なぜなら、「薬を飲めば治る」と他人任せになっており、自分で治そうという意識が薄いからです。
一方で、「どうすれば治せますか?」「生活習慣を改善したいのですが…」と自ら行動を起こす患者さんは、回復も早く、3〜6カ月で改善するケースが多いそうです。
精神的な不調や睡眠の問題は、医師に任せきりにするのではなく、自分自身で治そうという姿勢が何よりも大切です。薬はあくまでサポートであり、根本的な改善は生活習慣の見直しにあります。
■ 中途覚醒の大きな原因 ― 「運動不足」

現代社会では、デスクワークや在宅勤務の増加により、1日の大半を座って過ごす人が増えています。
身体を動かさないことは、睡眠の質を著しく下げる原因となります。体が疲れていなければ、当然ながら眠りも浅くなりやすいのです。
特に精神疾患で休職中の方などは、外出や運動の機会が減り、昼夜逆転しやすくなります。
その結果、夜になっても眠くならず、中途覚醒を引き起こす悪循環に陥るのです。
改善のためには、次のような行動を意識して取り入れましょう。
- 朝の散歩を日課にする(朝日を浴びることで体内時計が整う)
- 週に2回は軽く汗をかく運動をする
- 毎日決まった時間に寝て、決まった時間に起きる
この3つを意識するだけでも、睡眠のリズムが整い、自然と眠気が訪れるようになります。
■ 睡眠の質を上げる運動 ― 「脳を使う運動」が効果的

多くの人が「運動が大事」と分かっていながらも、「面倒くさい」「時間がない」と理由をつけて行動できていません。
しかし、運動には薬では得られない効果があります。とある研究では、発達障害の症状が運動によって著しく改善したという報告もあります。
特におすすめなのは、球技系の運動です。テニス・卓球・バドミントン・スカッシュなど、瞬時に判断して動くスポーツは、脳の活性化にもつながります。
また、リズム感を使うダンスや格闘技も、ストレス解消と自律神経の安定に役立ちます。
もし時間がない方は、以下のような「短時間運動」でも構いません。
- 腕立て伏せ:5回
- スクワット:3回
- 1日10秒×5セット
また、手軽にできる縄跳びもおすすめです。1人ででき、全身運動になるうえ、骨や脳を刺激して代謝を高めます。朝や夕方に3分間だけでも十分な効果が得られます。
■ 早朝覚醒の原因は「飲酒」

「夜中や朝方に目が覚める」という人の中には、毎晩お酒を飲む習慣がある方が少なくありません。
アルコールは一見眠りを誘うように思えますが、実際には睡眠の質を大きく低下させます。
お酒を飲むと一時的に眠りやすくなりますが、浅い眠りしか得られず、夜中に何度も目が覚めてしまうのです。
もしあなたが毎晩飲酒しているなら、まずは1週間だけ禁酒してみてください。
1週間、禁酒を実践した多くの患者さんが「朝までぐっすり眠れた」との報告が寄せられています。
また、夜中にトイレで目が覚める人は、寝る1時間前の水分摂取を控えるようにしましょう。
中年男性の場合、前立腺肥大による頻尿の可能性もあるため、その場合は泌尿器科の受診をおすすめします。
■ 睡眠前にできる「深く眠るための習慣」

中途覚醒を防ぐためには、日中の過ごし方だけでなく、眠る前の習慣も非常に重要です。
以下の工夫を少しずつ取り入れてみてください。
- 朝散歩をする:朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、夜に眠くなります。
- スマホを布団に持ち込まない:ブルーライトや情報刺激が脳を覚醒させます。
- 就寝90分前に入浴する:深部体温を一度上げることで、眠りにつくタイミングで自然に体温が下がり、深い睡眠に入りやすくなります。
- 照明を落とし、静かに過ごす:ストレッチや読書、アロマなどで心を落ち着かせましょう。
- 就寝前にトイレを済ませる:夜中の覚醒を防ぐために有効です。
さらに、スマホアプリで睡眠時間や深さを計測して、自分の睡眠パターンを客観的に把握するのもおすすめです。
■ まとめ ― 睡眠を整えれば人生が変わる

睡眠は、心と身体を回復させるための「最高の治療法」です。
夜中に何度も目が覚めてしまう人は、まず薬に頼る前に、生活リズムや運動習慣を見直してみましょう。
薬はあくまで対症療法です。
本当の改善は、自分の力で心身のリズムを整えることにあります。
朝の散歩、適度な運動、規則正しい生活。どれも今日から始められる小さな一歩です。
「ぐっすり眠れる」というだけで、翌日の集中力も上がり、気分も明るくなります。
睡眠を整えれば、人生の質そのものが大きく変わっていくでしょう。