季節の変わり目と体調管理の難しさ
夏の厳しい暑さや季節の変わり目は、心身ともに体調を整えるのが難しい時期です。これは健康な人であっても同じですが、特にメンタル疾患を抱える方にとっては環境の変化が強いストレスとなり、体調不良につながりやすい特徴があります。
大切なのは「暑くなってから急に対策を始める」のではなく、普段から睡眠や朝の散歩、適度な運動などの習慣を身につけておくことです。気候の良い時期から準備しておくことで、気温が急上昇する夏や急に冷え込む秋の入口でもスムーズに対応できるようになります。
夏バテの最大の原因 ― 睡眠不足

夏バテの原因として最も大きいのは「睡眠不足」です。昼間の暑さで疲労が蓄積しても、夜ぐっすり眠ることができれば回復できます。しかし、熱帯夜で何度も目が覚めたり、寝付けなかったりすると疲れが解消されず、数日続くだけで体も心も消耗してしまいます。
したがって「質の良い睡眠を確保すること」が夏バテ予防の最重要ポイントとなります。
睡眠を整える入浴習慣

夏場は「暑いからシャワーで済ませよう」と考える方も多いですが、実は入浴こそが睡眠改善のカギです。人間の体は体温が約1℃下がると眠気が強く出やすくなる仕組みを持っています。入浴によって体を一度温め、その後の気化熱によって体温が下がることで自然な眠気が得られるのです。
理想は「寝る90分前にお風呂から上がる」こと。これにより就寝時にちょうど体温が下がり、深い睡眠につながります。逆に寝る直前の水風呂や冷水シャワーは、一時的に冷えを感じても汗腺が閉じて体内に熱がこもり、かえって眠りにくくなるので注意が必要です。
ただしメンタル疾患のある方は、意欲低下から入浴そのものが面倒に感じられることもあります。その場合は「短時間でもお湯に浸かる」ことを目標にしてみてください。入浴を「清潔のため」ではなく「睡眠を良くするため」と考えることで、習慣化しやすくなるでしょう。
室内環境の工夫 ― エアコンとサーキュレーター

質の良い睡眠には室温管理も欠かせません。エアコンは27〜28℃に設定し、一晩中つけておくことが推奨されています。途中で切ってしまうと室温が上がり、眠りが浅くなる原因になります。
また、サーキュレーターや微風の扇風機を併用することで、空気を循環させ体感温度を下げられます。強風を直接体に当てると冷えすぎたり体調を崩すことがあるため、やわらかな風での利用がおすすめです。
水分補給とミネラルバランス

夏場は脱水症や熱中症のリスクが高まります。特に寝ている間は気づかないうちに汗をかいて水分を失うため、就寝前や起床後の水分補給が重要です。
必要な水分量は体格によって異なります。80kgの人と40kgの人が同じ量を飲むのは適切ではありません。目安としては「尿の色」を観察するのが効果的です。薄い黄色なら水分状態は良好、濃い黄色やオレンジがかっている場合は脱水傾向と考えられます。
また汗で失われるミネラルを補うため、フルーツや野菜を意識して取り入れるとよいでしょう。経口補水液やスポーツドリンクも一時的には有効ですが、糖分が多いため常用は避け、基本は食事から摂取することが望ましいです。
夏バテ防止に役立つ栄養素と食事例

夏場は食欲が落ちやすい時期ですが、だからこそ栄養バランスを意識した食事が大切です。特におすすめの食材は次の通りです。
- ビタミンB群:豚肉やニラ、卵など。疲労回復やエネルギー代謝を助けます。
- ミネラル類:マグネシウム、鉄、カリウムなど。心身の安定やエネルギー産生に不可欠です。
- フルーツ類:キウイやバナナは手軽に栄養補給ができ、夏場に適しています。
たとえば「豚肉とニラの卵とじ丼」は、ビタミンB群とタンパク質を効率的に摂れるスタミナ食です。さらに、和食の基本である「まごわやさしい(豆・ごま・海藻・野菜・魚・しいたけ・芋)」を意識すると、自然に栄養バランスが整います。
主食に玄米や雑穀米を取り入れると、ビタミンやミネラルが豊富に摂れ、白米だけの食生活よりも夏バテ防止に効果的です。玄米にはトリプトファンも含まれており、セロトニンやメラトニンの生成に関与して睡眠の質向上にもつながります。
メンタル疾患と食事の関係

うつ病などのメンタル疾患を持つ方の中には、買い物や調理が難しく、カップラーメンや白米だけで食事を済ませてしまうケースも少なくありません。しかしこのような偏った食生活は、栄養不足を招き、さらに心身の不調を悪化させる可能性があります。
理想を言えば毎食バランスの取れた食事が望ましいですが、難しい場合は「白米を玄米に変える」「サラダやフルーツを一品加える」といった小さな工夫から始めることが大切です。
サプリメントの活用

サプリメントには病気を治す効果はありませんが、栄養不足の補助としては役立ちます。特に夏場は体力が消耗しやすいため、ビタミンC・B群・E、マグネシウムなどを補うことで疲労回復の一助となります。
ただし、あくまで基本は食事からの摂取を心がけ、サプリメントは補助的に利用するのが望ましいです。
運動習慣で睡眠を深める

睡眠の質を高めるもう一つの方法は「中強度以上の運動」です。週に1〜2回、45〜60分程度のしっかり汗をかく運動を行うと、その日の夜はぐっすり眠れる効果が期待できます。
夏場は日中の外での運動は危険が伴うため、冷房の効いたジムや屋内でのトレーニングがおすすめです。朝の散歩も5分程度なら無理なく続けられ、体内時計を整える効果もあります。
まとめ ― 習慣づけが最大の予防策
夏バテ対策の要点は次の通りです。
- 睡眠を最優先に整える ― 入浴習慣と室温管理を意識する。
- 水分とミネラルをしっかり補給 ― 尿の色をチェックして調整。
- 栄養バランスの取れた食事 ― 「まごわやさしい」と玄米を活用。
- 運動習慣を持つ ― 週1〜2回の中強度運動で睡眠の質を高める。
特にメンタル疾患を抱える方にとっては、環境の変化そのものが大きな負担になります。だからこそ「普段からの習慣づけ」が一番の予防策です。小さな工夫を積み重ねて、この夏を健康に乗り切りましょう。