〜食生活が心と脳に与える影響〜
「食生活が心に影響を与える」と聞くと、少し不思議に感じる方もいるかもしれません。
しかし、美味しいものを食べて幸せな気持ちになることがあるように、私たちの「心の状態」は日々の食事と密接に関わっています。実際、心の病を抱える人の中には、過食や拒食といった食の異常を伴うケースも多く見られます。
それもそのはず。
私たちの身体や脳、そして感情を支えるエネルギーのすべては、「食べ物」から作られているのです。
つまり、食生活が乱れると、心と脳の働きも不安定になるということ。近年の研究でも、「うつ病」と「食生活」の関係が明確になりつつあります。
本記事では、うつ病のリスクを高めるとされる5つの食生活パターンを紹介しながら、心と脳を健やかに保つためのヒントをお伝えします。
1.カロリーの摂り過ぎ

現代は、コンビニや外食が充実し、手軽に高カロリー食を摂取できる時代です。
しかし、摂取カロリーの多い生活は、心と脳の健康を大きく損ねる恐れがあります。
実際に、肥満(BMI30以上)の人は、脳神経の一部が委縮しているという研究報告もあります。これにより認知機能の低下が起こり、思考が鈍くなったり、気分が沈みやすくなったりするのです。
BMIの計算式は以下の通りです。
BMI = 体重(kg)÷ 身長(m) ÷ 身長(m)
たとえば、70kgで身長1.7mの場合、BMIは24.2。
この数値は標準に近いですが、30を超えると肥満とされ、うつ病になるリスクは約1.5倍にもなります。
肥満を防ぐためには、
- ご飯の量を控えめにし、おかずを多めにする
- パンやお菓子、ジュースなど糖質の多いものを控える
- 間食・夜食は極力避ける
といった工夫が効果的です。
「お腹いっぱい食べる」よりも、「心地よく満たされる食事」を意識しましょう。
2.甘い物の摂り過ぎ

疲れた時、甘い物を食べるとホッとする――。
これは脳内で「セロトニン」や「ドーパミン」が分泌され、一時的に幸福感が得られるからです。
しかし、過剰に糖分を摂り過ぎると、血糖値の乱高下を引き起こし、結果的にイライラや不安感を増大させることがあります。
さらに、糖質の摂り過ぎは体重増加や糖尿病のリスクを高め、糖尿病患者はうつ病発症率が1.5倍高いこともわかっています。
食後に毎回デザートを食べる習慣がある方は、「週に数回だけ」「果物に置き換える」など、少しずつ見直してみましょう。
また、職場や自宅に常に甘いお菓子を置く環境も、過食の原因となります。意識して「甘い物の在庫ゼロ習慣」をつくることも効果的です。
3.お酒の飲み過ぎ

お酒には、一時的に気分を高揚させる働きがあります。
仕事終わりに飲むビールや晩酌でリラックスすることも大切ですが、過剰な飲酒は脳への負担を引き起こします。
アルコールが体内で分解されると、「アセトアルデヒド」という有害物質に変化します。これが脳細胞を傷つけ、神経伝達のバランスを崩すのです。
また、アルコール自体が高カロリーなため、肥満を助長し、結果的に心の不調を招くこともあります。
目安としては、
- 男性:500mlの缶ビールを1日2本まで
- 女性:500mlの缶ビールを1日1本まで
を限度にしましょう。
「飲まない日」を週に2〜3日つくる“休肝日”も、脳と心を守るために非常に大切です。
4.野菜不足の食生活

野菜を食べないと便秘になりやすくなり、体内に老廃物や有害物質が溜まります。
これらが腸内環境を悪化させ、腸と密接につながっている「脳」にも悪影響を与えます。
実際、腸の不調は「腸内炎症」や「神経伝達の乱れ」を引き起こし、うつ症状を悪化させることが分かっています。
野菜には、ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富に含まれています。特に、
- 葉酸
- ビタミンD
- 鉄
- 亜鉛
などの不足は、うつ病リスクを高めることが分かっています。
食事の目安としては、
- 生野菜:両手に乗る程度
- ゆで野菜:片手に乗る程度
を1食ごとに摂取するのが理想的です。
また、野菜だけでなく、穀類・豆類・きのこ類・海藻類も積極的に取り入れましょう。
「時間がないからサプリで補う」という人もいますが、サプリメントはあくまで“補助”。
基本は“食事から摂る”ことが、心と身体を整える第一歩です。
5.間食と夜食の多い生活

うつ病の人の食習慣を調査した研究では、朝食を抜く人が多いことが明らかになっています。
その代わりに、間食や夜食で空腹を満たす傾向があり、これが栄養バランスの乱れを引き起こします。
空腹やストレスを満たすためだけの「食べ方」は、脳に必要な栄養が行き渡らず、心の安定を保つ神経伝達物質の生成を妨げます。
一方で、朝・昼・夜と規則正しく食事を摂ることで、体内リズムが整い、脳も安定した働きを保ちやすくなります。
特に注目されているのが「日本食」です。
日本食は、野菜・穀物・大豆・魚介類などを中心としたバランス食で、うつ病のリスクを下げることが分かっています。
何を食べるか迷ったときは、まず日本食を選ぶことをおすすめします。
まとめ:食生活を整えることが、心を守る第一歩
うつ病になりやすい食生活は、次の5つです。
- カロリーの摂り過ぎ:BMI30以上は心と脳の健康を損なう
- 甘い物の摂り過ぎ:糖尿病を招き、うつ病リスクを1.5倍に
- お酒の飲み過ぎ:脳を傷つけ、肥満と心の不調を悪化させる
- 野菜不足:腸環境が乱れ、脳と心にも悪影響
- 間食・夜食の多さ:生活リズムと栄養バランスを崩す
薬を服用していてもなかなか症状が改善しない方は、まず食生活を見直すことから始めてみてください。
野菜を意識的に摂り、和食中心の食生活に切り替えるだけでも、心と脳の状態は少しずつ変わっていきます。
「心の健康は、食卓からつくられる」——。
今日の一食を丁寧に選ぶことが、あなたの未来の笑顔を守る第一歩になるでしょう。