〜心と身体を蝕む病気〜
現代社会では、仕事のストレス、人間関係の悩み、急激な環境の変化などにより、心の不調を抱える人が増えています。なかでも「うつ病」は、誰にでも起こりうる非常に身近な心の病です。
日本では現在、うつ病患者は約500万人といわれ、実に25人に1人がメンタル疾患を抱えています。精神科を受診する人は年間で100万人を超え、うつ病はもはや特別な病気ではなく、がん・糖尿病・脳卒中・心疾患と並ぶほどの「現代の国民病」となっています。
うつ病は、心の働きである「知(考える力)」「情(感じる力)」「意(やる気・意志)」のすべてが低下し、さらに自律神経系にも異常が現れるため、心と身体の両面にさまざまな症状を引き起こします。
気付かないうちに発症し、日常生活に支障をきたすころには、すでにかなり深刻な状態になっていることも少なくありません。回復までに年単位の時間を要するケースもあります。
本記事では、「うつ病のあまり知られていない症状17選」を紹介します。
もし、あなたや身近な人に当てはまるものがあれば、早めに専門医への相談を検討してください。
1.誰も自分を分かってくれない
うつ病になると、「誰も私のことを理解してくれない」という孤独感に襲われます。たとえ人と会話しても心が通わず、まるで外の世界と自分の間に見えない膜があるように感じます。これを離人感といい、「水の中にいるよう」「モニター越しで周りを見ているよう」と表現する人もいます。
2.誰にも会いたくない
孤独を感じているにもかかわらず、人と会う気力がなくなります。電話やインターフォンにも出られず、ますます孤立してしまう――。この悪循環が、さらに孤独感を深めてしまいます。
3.職場や学校に行けない
朝、職場や学校を思い浮かべるだけで体が重く、布団から出られない。頭痛や腹痛を訴える人もいます。無理に起きても玄関から先に進めず、「行かなければ」と分かっていても心と身体が動かないのです。
4.理由もなく涙が出る

突然、涙が溢れることがあります。悲しみからではなく、「もう無理」「何もしたくない」といった限界を超えた心のサインです。
5.消えてしまいたい
「生きていても意味がない」「いっそいなくなれたら」と感じることがあります。これは死を望んでいるのではなく、「今の苦しみから逃れたい」という心の叫びです。
6.趣味に興味がなくなる
以前は楽しめていた趣味に興味を失い、「無駄だった」と感じてやめてしまいます。コレクションを処分するなど、かつての自分を否定する行動に出ることもあります。
7.怒りっぽくなる
心の余裕がなくなり、些細なことでイライラするようになります。表情も険しくなり、職場や家庭で衝突が増えることもあります。
8.答えの出ないことを考え続ける
「人生の意味」「10年後の自分」など、考えても答えの出ないことを延々と考え続けます。政治や社会問題など、自分ではどうにもならないことにまで思い悩んでしまうのです。
9.同じ言葉を繰り返す
「自分は駄目だ」「どうせ無理だ」といった否定的な言葉を何度も繰り返してしまいます。その結果、周囲の人も疲弊して距離を置くようになり、さらに孤立が進みます。
10.焦りだけが先走る
理由のない焦りや不安、落ち着かない感覚(焦燥感)に駆られます。勢いで転職したり資格勉強を始めても続かず、自己否定に繋がるケースもあります。
11.物忘れやミスが増える
脳の働きが低下し、「頭に靄がかかる」ような感覚になります。人の名前が出てこない、財布を置き忘れるなど、認知症と間違われることもあります。
12.先延ばしが増える
「やらなきゃ」と分かっていても行動できず、締め切りぎりぎりまで放置してしまう。うつ病による意欲低下が原因なのに、自分を責めてしまう人が多いです。
13.当たり前のことができない

部屋の片付けや入浴、洗濯といった日常の行動が苦痛に感じられます。何もせず1日が終わり、自己嫌悪に陥ることもあります。
14.予定変更やドタキャンが増える
体調の波が激しく、前日に決めた予定を当日にこなせないことがあります。気圧や天候の変化にも敏感で、雨の日は外出できない人も多いです。
15.飲み物が手放せない
不安感から喉が渇きやすくなり、常にペットボトルを持ち歩く人もいます。水分を摂ることで、わずかでも心を落ち着けようとしているのです。
16.いくら寝ても疲れが取れない
寝つけない、早朝に目が覚める、悪夢を見るといった不眠症状や、逆に過眠になる場合もあります。睡眠薬で一時的に眠れても、根本的な原因はうつ病の可能性があります。
17.慢性的な頭痛・肩こり・腰痛
体の緊張が続くため、慢性的な痛みに悩まされる人もいます。マッサージを受けても一時的な効果しかなく、痛み止めを手放せないケースも少なくありません。
まとめ:心と身体からのSOSを見逃さないで
うつ病には、ここで紹介した以外にも多くの症状があります。
重要なのは、「気の持ちよう」や「怠け」ではなく、脳と神経の働きが乱れることで起こる病気だということです。
日本では、うつ病を発症しても治療を受けていない人が半数以上を占めています。
「時間が経てば治るだろう」と放置してしまうケースもありますが、放っておくとうつ症状は悪化し、回復に長い時間がかかってしまいます。
うつ病は、適切な治療で必ず回復できる病気です。
もしこの記事の中に当てはまる症状があれば、どうか一人で抱え込まず、早めに精神科や心療内科を受診してください。
そして、自分を責めずに、少しずつ休むこと・助けを求めることから始めてみましょう。
あなたの心と身体の声に、今こそ耳を傾けてください。